31. コート













32. 背中












33.

あいつ面白いよ、頭に猫がいるんよ。毛の長いキレイな猫。
あいつ何でも器用に逃げるやん、落ちてもケロッとしてるしな。
あれは絶対猫の仕業だよ。

「……へぇ。」

目の前の彼は表情を変えずに言った。
それから少し、困ったな、というような顔をして、顎に長い指をあてる。
私は彼が少々苦手だ。どこか人間味がない、と思う。
彼は前髪の下の目をちらりとこちらへ向けた。

「何で知ってんだろな。」
「え?」
「俺の頭に猫がいること。話したことないと思うんだけどな。あんたも知っちゃったしどうしよう」

ツヤのない茶色の髪の毛。その下の意識を透かさない目。
やっぱり苦手だ。
表情を変えないままで顔を近づけてくる彼は、猫というより悪魔の方がしっくりくる気がする。

「嘘だよ。そんなわけないでしょ」
「え?」
「キラに遊ばれたね」
「…はあ……」
「でもせっかくだから教えてあげるよ。あのね、」

キラは頭に猫飼ってるから気をつけなね。












34. 睡魔













35. 溜め息













36. キス