「飼うって、どういう風に。」
「そうね……特に考えてはいないけれど。」

答える気もなさそうに言って、女はバスルームへ行ってしまった。ハタは少し驚きながら、それでも全く落ち着いた気持ちでそのままソファに横になった。頭の中では、どこかで聞いた家具の音楽が反復している。その音楽はこの部屋に似合っていたけれども彼を苛々させた。

ハタはその日赤いソファで眠り次の日の夕方目を覚ました。蜜は部屋にいなかった。
ハタはシャワーを浴びた。
ハタは煙草を燃やした。

ハタは何もしなかった。